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    メルマガ国際平和 No.34         2003年08月10日
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 ──『国際平和』2003年夏号巻頭言―― 伴 武澄

 歴史の潮目を読むという作業はなかなか難しい。しかし九・一一後の世界政治
は確実に一つの潮目を示した。アフガン攻撃や対イラク戦争でみるようにアメリ
カは新たな覇権主義を鮮明にした。このことに誰も異論はないだだろう。問題は
その覇権に対する対抗軸である。

 欧州連合(EU)は異なるものの統合に向けた壮大なる実験である。一〇年前、
欧州共同通貨が出現するとは誰も信じなかった。それが二年前に実現した。その
EUが今度は政治統合に向かおうとしている。大統領だとか外相を選ぶのだそう
だから一〇年後にはフランスだとかドイツだとかいう国家が消滅しているかもし
れない。アレキサンダー大王、チンギスカン、ナポレオンといったかつての英雄
たちは武力によって帝国の野望を果たしたが、EUで起きていることはどうやら
様相が違う。

 アジアはどうであろうか。統合に向けた求心力はないのだろうか。日中韓がリ
ーダーとなって統合という栄誉を勝ち取れないものだろうか。この二〇年間、そ
んなことを考え続けてきた。

戦前、日本はアメリカやイギリス帝国に対抗して大東亜共栄圏をつくろうとした。
不幸だったのはその時のアジアに日本というエンジンしかなかったということで
ある。しかし、二一世紀に入ったアジアは違う。経済力でいえば、韓国や台湾、
そしてシンガポールといったかつての新興工業国・地域(NIES)は先進国の
領域に入っており、国全体の力でいえば、中国もまたG8の仲間入りをしようと
している。リー・クワンユー、李登輝、マハティールといった知恵者もいる。

 北朝鮮や台湾海峡という対立構造を残しつつも、一九七〇年代や八〇年代の冷
戦構造と比べれば、アジアは格段に豊かになり、格段に平和に近づいているとは
いえないだろうか。目の前にある対立ばかりに目を奪われてはいけない。われわ
れは歴史の進歩をもう少し信じるべきだ。アジアにも確実に歴史の潮目が現れて
いるのだ。(二〇〇三年七月)


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 財団法人国際平和協会 編集責任:伴 武澄 mailto:kyokai@jaip.org
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