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国際平和









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    メルマガ国際平和 No.25         2003年06月09日
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  世界国家の話(2)−国家の終焉

    (『世界国家』1950年7月号から転載)賀川豊彦

 「最近の攻撃武器の発達は、歴史上その比を見ない大量の人殺しの手段を作り
出しました。これ等の兵器は他からの攻撃を防ぐというよりは、はるかに侵略に
役立ちます。ですから、もし将来戦争の起きるのを放任すれば、人類の大部分は
滅び、都市は壊され、土地さえも毒を受けてしまうことになるでしょう」

 こういっているのは、世界的科学者としてその名を知らぬ者もないアインスタ
イン博士です。原子爆弾のような、世にもおそろしい攻撃武器が発明されて、現
に広島ではたった一発の原子爆弾のために死者24万の犠牲者を出したほどです。
その後の研究で、さらに破壊力を増大した原子爆弾や水素爆弾のような攻撃武器
が、敵味方によって使用されることとなれば、アインスタイン博士のいわれるよ
うに、人類の大部分の滅びる日が来ないとは、誰も保証できないのです。そこで、
博士はいっています。

「こうした破壊から人類を救う方法は一つある。それは世界政府の創設でありま
す。世界政府がすべてのこうした兵器を管理し、必要なる機関を設置し、今まで
戦争の原因となっていた凡ての事項について、法を制定し得る権限をもつことに
しなければなりません」

 こういって、世界政府を作ることが、人類を破滅から救う唯一の道であり、自
殺的な文明の破壊を防ぐ唯一の方法だといっているのです、博士は、この方法が
唯一であるばかりか「一番安上がりの方法」だともいっているのです。そうでし
ょう。世界国家が出来れば諸国家間に起こる紛争は、すべて戦争のような暴力手
段に訴えることなく、大法院や最高法廷で審理するのですから、厖大な軍備も不
要となり、兵員の育成や、兵器の発明や製造に憂き身をやつすこともなくなって、
各国の財政も楽になるでしょう。そうした物質的な利益よりも、人類が互いに殺
し合わず、互いに愛し合い、助け合うことが出来るという精神的よろこびは、何
ものにも変えがたいといわねばなりません。

 アメリカのシカゴ大学名誉総長ハッチンス博士を首班とする世界憲法起草委員
会が起草した世界憲法草案の前文を読みますと、世界連邦の成員は、三つの義務
を負うべきだとしています。

 その一は、みんなが、その才能に応じ、生産的な働きをして、みんなの
ために 奉仕すること、
 その二は、みんなが、わがままをいったり、したりしないで、人にせら
れんと思うことを、人にもすること。
 その三は、みんなが、お互いに暴力を排撃して、法律で命ぜられ、許さ
れた場合の他は一切暴力を禁ずること、

 これ己のごとく隣を愛せんとする――隣人愛の精神に基づく三つの義務と奉仕
の上に、世界国家は築かれるので、他を虐待したり奴隷のように酷使したり、搾
取したりすることは、右の義務と奉仕にそむくものですから許されません。人種
的な差別も許されません。征服とか、圧制とかの支配も許されません。戦争の如
き暴力行為は堅き禁制です。世界連邦の人間は、これ等のことを彼自身およびそ
の同胞のために主張し、支持する権利をもっているのです。

 この権利と義務の下に、人生に必要なる4要素(1)土地(2)水(3)空気(4)エネル
ギーはすべて人類の協同の財産とすることができて、これにより人類は、欠乏と
恐怖から救われ奴隷化から救われるのです。

 それならば、世界連邦ができれば、日本という国家がなくなり、わたしたちは
日本人でなくなってしまうのかというと、そうではないのです。最近の新聞で、
日本の国籍を離れ、世界市民になろうとする人のあることが報ぜられていたのを
お読みになったでしょうが、世界連邦の市民になるのには、国籍を離れる必要は
ないどころか、どこにも国籍のないなどという人は認められないのです。日本と
いう国家は、世界連邦が出来ても現存し、わたしたちは日本の国民であると共に、
世界連邦の一員なのです。

 しかし、ここで一番大切なことは、昔のように国と国とが対立し、競争し、に
らみあう「国家時代」が既に終わりを告げて、「全人類時代」が来つつあるとい
うことを知ることです、わたしたちの兄弟は「国家のため」という美名の下に、
戦争に駆り立てられたりしました。しかし、そうした時代は既にすぎて、「人類
のため」という旗印の下に、四海同胞の意識をもって、人類共通の目的である人
間の精神上、および物質上の福祉増進のために、平和と正義を確保しなければな
らない時に到達したのです。

 では、そのために、われわれはどうすればいのか、世界憲法草案の前文は次の
如く言っているのです。

 ――かかる意見に一致した以上、もろもろの政府は、個々に分離せる主権を
一つの正義、公正なる政府(世界政府)の下に整備し、各国の武器をこれに
引き渡し、今此処に制定する憲法を世界連邦共和国の盟約とし、またその基
本法として制定することに決定するものである――。

 つまり、各国がその主権の一部を割き、これを世界の一つの政府――世界連邦
政府に移譲します。そして、何より先ず各国個々の軍備を撤廃し、世界議会を開
き、世界行政府を立て、世界裁判所を設け、世界警察を置き、世界が一つの法の
下に治まっていく仕組み、すなわち一つの法治社会としようというのです。つま
り、世界国が生まれるのです。ですから、これを日本人について云いますと、主
権は昔のように「天皇にある」のではないばかりか、この国々が最高絶対の主権
を振り回すのでもなく、もともと人間にある主権のうちから、何千人か何万人か
に関係のある事柄についての主権を出し合わせて、第一の政府――市町村制を作
り、百万人か二、三百万人かに関係ある事柄については第二の政府――府県制を
作り、何千万人かに関係ある事柄については第三の政府――国家を作っているよ
うに、さらに二十四億人の全人類に関係ある事柄を処理していくために世界国を
作る――その世界国が出来ても、めいめいの国はあるのですから、そこでこの世
界国のことを、世界連邦というわけなのです。

 さてこの世界政府に、何々の事柄を委せようかというかということは、相談の
しようで、いかようにも決められるのですが、何をおいても、個々の国家に委託
していた武力主権――戦争をするとかしないとか、軍備をするとかしないとか―
―軍備・国防・外交などに関する権限を、各自国の政府から取り返して、これを
新しく作る一つの政府に委託して行わせるのです。こうなれば、この国家は、国
民から武力主権を委せられていないのですから、たとえ国家間に何かの紛争が起
こったとしても、各国が武力を行使できるはずもなく、つまり戦争が不可能にな
り、不必要になるのです。

 それなら、国と国との間の紛争は、どうやって解決をつけるかというと、それ
は、ちょうど現在の一国の中で、或る集団と集団との争いが、戦争によらないで、
法で裁きがついているように、それは世界政府の審判によって解決されるのです。
つまり世界法に基づいて処理され、判らないことは世界裁判所が裁判し、法に従
わないものがあれば、世界警察が其の委ねられた権力で、始末するのです。

 今日まで、国際連盟や国際連合のような世界平和の維持を目的とする国際組織
が作られても、それらは戦争防止の力がなかったのは、バラバラの各国が絶対主
権を振り回して、それぞれ自国の利益を主張しあうばかりで、全人類が一つに結
合した世界国はなかったのです。世界連邦はこの点に鑑み、世界24億人の人間
が、めいめい市町村や国の政府をもちながら、さらにその上に、唯一の共通の政
府――世界政府をもつことにするのです、こうして初めて、世界の土地と水と空
気とエネルギーとを、真に人類の共同の財産とすることもでき、国家間の戦争を
なくすることも出来るのです。

 では、世界連邦はどうして組織するか、これが問題です、連邦は決して一国が
全世界を征服するのではなく、全世界が法を定めて、これを連邦の盟約とする連
合体ですから、その立法、司法、行政の各組織は、世界連帯意識――判り易くい
えば、24億の心と心が、一本の帯のようにつながる相互信頼、相互扶助の精神
の上に立てられねばならないのです。

 この点は、まさにスイス連邦やアメリカ合衆国のそれに似ているといえましょ
う。政府の機関の中で、一番大切なのは立法機関――つまり議会ですが、シカゴ
案によりますと、この議会は両院制で、世界人民代表大会(下院)と世界連邦総
会(上院)の二つとします。

 世界人民代表大会は「主権在民世界民」の精神に基づき、世界中から人口百万
人につき一人の割で、一般投票により代表を選出するので、世界の人口24億人
とすれば、2400人の代表が出るわけです。会期は3年に1回。世界連邦組織
に関する重大な事柄を決議し、世界連邦総会を開く準備もするのです。(今のと
ころ1955年を期して、連邦政府を樹立し、第1回の総会を開こうとしていま
す)

 世界連邦総会の議員は、人民代表大会が選挙するもので、その議員の比例を公
平にするため、全世界を九つの選挙地区に分け、一地区から27人ずつの候補者
を選出し、その中から大会で一地区から9人ずつ、合計81人の議員を選挙する
。一方別に、地区選出によらない連邦総会の推薦した議員18人を加え、計99
人よりなる常設連邦議会が成立し、これが世界連邦政府の最高立法府となるので
す。

 なお連邦総会議員の9つの選挙地区というのは、極東、南洋、印度、中東及び
近東、ロシア及びその衛星国、アフリカ、西ヨーロッパ、北米、南米で、極東地
区には中国、韓国、日本が含まれ、南洋地区には豪州、フィリピン、インドネシ
アも含まれているのです。

 世界連邦が出来たら、みなさんの中から世界連邦総会の議員も出ることでしょ
う。(続く)

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 財団法人国際平和協会 編集責任:伴 武澄 mailto:kyokai@jaip.org
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