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□□■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ メルマガ国際平和 No.11 2003年02月02日 http://www.jaip.org □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■□□□□ 世界国家の話(2) 賀川豊彦 (『世界国家』1950年7月号から転載) 【解説】戦後まもなく、核廃絶の立場から欧米を中心に世界連邦を 求める声が澎湃としてわいた。日本では賀川豊彦や下中弥三郎らを 中心に世界連邦論建設運動が盛り上がった。国際平和協会の機関紙 『世界国家』はその運動の中核を担い、内外の論客が論陣を張った。 「最近の攻撃武器の発達は、歴史上その比を見ない大量の人殺しの手段を作り出 しました。これ等の兵器は他からの攻撃を防ぐというよりは、はるかに侵略に役立 ちます。ですから、もし将来戦争の起きるのを放任すれば、人類の大部分は滅び、 都市は壊され、土地さえも毒を受けてしまうことになるでしょう」。 こういっているのは、世界的科学者としてその名を知らぬ者もないアインスタイ ン博士です。原子爆弾のような、世にもおそろしい攻撃武器が発明されて、現に広 島ではたった一発の原子爆弾のために死者24万の犠牲者を出したほどです。その 後の研究で、さらに破壊力を増大した原子爆弾や水素爆弾のような攻撃武器が、敵 味方によって使用されることとなれば、アインスタイン博士のいわれるように、人 類の大部分の滅びる日が来ないとは、誰も保証できないのです。そこで、博士はい っています。 「こうした破壊から人類を救う方法は一つある。それは世界政府の創設であります。 世界政府がすべてのこうした兵器を管理し、必要なる機関を設置し、今まで戦争の 原因となっていた凡ての事項について、法を制定し得る権限をもつことにしなけれ ばなりません」 こういって、世界政府を作ることが、人類を破滅から救う唯一の道であり、自殺 的な文明の破壊を防ぐ唯一の方法だといっているのです、博士は、この方法が唯一 であるばかりか「一番安上がりの方法」だともいっているのです。そうでしょう。 世界国家が出来れば諸国家間に起こる紛争は、すべて戦争のような暴力手段に訴え ることなく、大法院や最高法廷で審理するのですから、厖大な軍備も不要となり、 兵員の育成や、兵器の発明や製造に憂き身をやつすこともなくなって、各国の財政 も楽になるでしょう。そうした物質的な利益よりも、人類が互いに殺し合わず、互 いに愛し合い、助け合うことが出来るという精神的よろこびは、何ものにも変えが たいといわねばなりません。 アメリカのシカゴ大学名誉総長ハッチンス博士を首班とする世界憲法起草委員会 が起草した世界憲法草案の前文を読みますと、世界連邦の成員は、三つの義務を負 うべきだとしています。 1.みんながその才能に応じ、生産的な働きをして、みんなのために奉仕する 2.みんなが、わがままをいったり、したりしないで、人にせられんと思うこ を人にもする 3.みんなが、お互いに暴力を排撃して、法律で命ぜられ、許された場合の他 は一切暴力を禁ずる これ己のごとく隣を愛せんとする――隣人愛の精神に基づく三つの義務と奉仕の 上に、世界国家は築かれるので、他を虐待したり奴隷のように酷使したり、搾取し たりすることは、右の義務と奉仕にそむくものですから許されません。人種的な差 別も許されません。征服とか、圧制とかの支配も許されません。戦争の如き暴力行 為は堅き禁制です。世界連邦の人間は、これ等のことを彼自身およびその同胞のた めに主張し、支持する権利をもっているのです。 この権利と義務の下に、人生に必要なる4要素(1)土地(2)水(3)空気(4)エネルギ ーはすべて人類の協同の財産とすることができて、これにより人類は、欠乏と恐怖 から救われ奴隷化から救われるのです。 それならば、世界連邦ができれば、日本という国家がなくなり、わたしたちは日 本人でなくなってしまうのかというと、そうではないのです。最近の新聞で、日本 の国籍を離れ、世界市民になろうとする人のあることが報ぜられていたのをお読み になったでしょうが、世界連邦の市民になるのには、国籍を離れる必要はないどこ ろか、どこにも国籍のないなどという人は認められないのです。日本という国家は、 世界連邦が出来ても現存し、わたしたちは日本の国民であると共に、世界連邦の一 員なのです。 しかし、ここで一番大切なことは、昔のように国と国とが対立し、競争し、にら みあう「国家時代」が既に終わりを告げて、「全人類時代」が来つつあるというこ とを知ることです、わたしたちの兄弟は「国家のため」という美名の下に、戦争に 駆り立てられたりしました。しかし、そうした時代は既にすぎて、「人類のため」 という旗印の下に、四海同胞の意識をもって、人類共通の目的である人間の精神上、 および物質上の福祉増進のために、平和と正義を確保しなければならない時に到達 したのです。 では、そのために、われわれはどうすればいのか、世界憲法草案の前文は次の如 く言っているのです。 ――かかる意見に一致した以上、もろもろの政府は、個々に分離せる主権を 一つの正義、公正なる政府(世界政府)の下に整備し、各国の武器をこ れに引き渡し、今此処に制定する憲法を世界連邦共和国の盟約とし、ま たその基本法として制定することに決定するものである――。 つまり、各国がその主権の一部を割き、これを世界の一つの政府――世界連邦政 府に移譲します。そして、何より先ず各国個々の軍備を撤廃し、世界議会を開き、 世界行政府を立て、世界裁判所を設け、世界警察を置き、世界が一つの法の下に治 まっていく仕組み、すなわち一つの法治社会としようというのです。つまり、世界 国が生まれるのです。ですから、これを日本人について云いますと、主権は昔のよ うに「天皇にある」のではないばかりか、この国々が最高絶対の主権を振り回すの でもなく、もともと人間にある主権のうちから、何千人か何万人かに関係のある事 柄についての主権を出し合わせて、第一の政府――市町村制を作り、百万人か二、 三百万人かに関係ある事柄については第二の政府――府県制を作り、何千万人かに 関係ある事柄については第三の政府――国家を作っているように、さらに二十四億 人の全人類に関係ある事柄を処理していくために世界国を作る――その世界国が出 来ても、めいめいの国はあるのですから、そこでこの世界国のことを、世界連邦と いうわけなのです。 さてこの世界政府に、何々の事柄を委せようかというかということは、相談のし ようで、いかようにも決められるのですが、何をおいても、個々の国家に委託して いた武力主権――戦争をするとかしないとか、軍備をするとかしないとか――軍備 ・国防・外交などに関する権限を、各自国の政府から取り返して、これを新しく作 る一つの政府に委託して行わせるのです。こうなれば、この国家は、国民から武力 主権を委せられていないのですから、たとえ国家間に何かの紛争が起こったとして も、各国が武力を行使できるはずもなく、つまり戦争が不可能になり、不必要にな るのです。 それなら、国と国との間の紛争は、どうやって解決をつけるかというと、それは、 ちょうど現在の一国の中で、或る集団と集団との争いが、戦争によらないで、法で 裁きがついているように、それは世界政府の審判によって解決されるのです。つま り世界法に基づいて処理され、判らないことは世界裁判所が裁判し、法に従わない ものがあれば、世界警察が其の委ねられた権力で、始末するのです。 今日まで、国際連盟や国際連合のような世界平和の維持を目的とする国際組織が 作られても、それらは戦争防止の力がなかったのは、バラバラの各国が絶対主権を 振り回して、それぞれ自国の利益を主張しあうばかりで、全人類が一つに結合した 世界国はなかったのです。世界連邦はこの点に鑑み、世界24億人の人間が、めい めい市町村や国の政府をもちながら、さらにその上に、唯一の共通の政府――世界 政府をもつことにするのです、こうして初めて、世界の土地と水と空気とエネルギ ーとを、真に人類の共同の財産とすることもでき、国家間の戦争をなくすることも 出来るのです。 では、世界連邦はどうして組織するか、これが問題です、連邦は決して一国が全 世界を征服するのではなく、全世界が法を定めて、これを連邦の盟約とする連合体 ですから、その立法、司法、行政の各組織は、世界連帯意識――判り易くいえば、 24億の心と心が、一本の帯のようにつながる相互信頼、相互扶助の精神の上に立 てられねばならないのです。 この点は、まさにスイス連邦やアメリカ合衆国のそれに似ているといえましょう。 政府の機関の中で、一番大切なのは立法機関――つまり議会ですが、シカゴ案によ りますと、この議会は両院制で、世界人民代表大会(下院)と世界連邦総会(上院) の二つとします。 世界人民代表大会は「主権在民世界民」の精神に基づき、世界中から人口百万人 につき一人の割で、一般投票により代表を選出するので、世界の人口24億人とす れば、2400人の代表が出るわけです。会期は3年に1回。世界連邦組織に関す る重大な事柄を決議し、世界連邦総会を開く準備もするのです。(今のところ19 55年を期して、連邦政府を樹立し、第1回の総会を開こうとしています) 世界連邦総会の議員は、人民代表大会が選挙するもので、その議員の比例を公平 にするため、全世界を九つの選挙地区に分け、一地区から27人ずつの候補者を選 出し、その中から大会で一地区から9人ずつ、合計81人の議員を選挙する。一方 別に、地区選出によらない連邦総会の推薦した議員18人を加え、計99人よりな る常設連邦議会が成立し、これが世界連邦政府の最高立法府となるのです。 なお連邦総会議員の9つの選挙地区というのは、極東、南洋、印度、中東及び近 東、ロシア及びその衛星国、アフリカ、西ヨーロッパ、北米、南米で、極東地区に は中国、韓国、日本が含まれ、南洋地区には豪州、フィリピン、インドネシアも含 まれているのです。 世界連邦が出来たら、みなさんの中から世界連邦総会の議員も出ることでしょう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2月9日号予告 EUの理念の一つとなった友愛経済の発想 伴 武澄 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 財団法人国際平和協会 編集責任:伴 武澄 mailto:kyokai@jaip.org バックナンバー http://www.pubzine.com/detail.asp?id=20632 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 配信システム: Pubzine( http://www.pubzine.com/ ) 購読解除: http://www.pubzine.com/detail.asp?id=20632 問い合わせ: fwgc0017@mb.infoweb.ne.jp |
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